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HOME > 企業法務Q&A集 > 「不動産法務」のQ&A > 賃借人から,賃借人が行方不明の場合,契約の解除や建物明渡しの手続きはどのようにしたらよいのでしょうか?
Q5賃借人が行方不明の場合,契約の解除や建物明渡しの手続きはどのようにしたらよいのでしょうか?
A5手段の一つとして,公示送達により建物明渡請求訴訟を提起して勝訴判決を取得し,建物明け渡しの強制執行をするという手段があります。
賃借人が行方不明の場合,賃貸人としては賃貸人の荷物や家財家具を処分し,次の賃借人に賃貸したいところです。しかし,日本の法律では自力救済(自己の権利が侵害されている場合に,司法手続によらず,自己の力で侵害状態を解消しようとすること)が禁止されているため,このような行動は原則として許されていません。
賃借人が行方不明の場合,そもそも交渉や民事調停などによって明け渡してもらうことが不可能であるため,公示送達により建物明渡請求訴訟を提起して勝訴判決を取得し,強制執行をすることが通常です。
公示送達とは,送達を受けるべき者(このケースであれば行方不明の賃借人)の住所や所在地等の送達可能な場所が不明なときに行われるものであり,裁判所書記官が送達すべき書類(建物明渡等請求の訴状)を保管し,いつでも送達を受けるべき者が出頭すれば交付する旨を裁判所の掲示場に掲示することによって行われます。
送達の効力は,掲示を始めた日から2週間が経過することによって生じるため,これにより訴状が相手方に到達したものとされ,訴訟手続が開始します。
訴訟手続が開始すると,第1回の口頭弁論期日が開かれますが,行方不明の賃借人が出頭してくることはまれです。相手方が期日に欠席すると,訴状に記載された内容が認めたものとみなされ,通常は2週間程度で建物明渡しを命ずる判決が下されます。
賃借人の所在が不明な場合でも,上記のような方法により建物明渡しの手続を行うことが可能ですが,この方法は労力を要するため,賃借人の親族や保証人等に連絡をとっても賃借人と連絡がつかない場合など,やむを得ない場合の最後の手段として検討することが現実的です。