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取引先が破産した場合,売掛金の回収はできませんか?

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Q4取引先が破産した場合,売掛金の回収はできませんか?

A4全額の回収はほとんど期待できません。

取引先が倒産をして破産手続開始決定がなされると,裁判所の選任する破産管財人が取引先の財産を管理することとなり,個別的な債権回収は原則として禁止されます。

破産をする会社に一定程度の財産がある場合には処分して現金化し,債権者に債権額に応じて分配を行いますが,倒産をする会社に目ぼしい財産が残されていない場合は,配当がなされたとしてもわずかなものとなるため,債権全額の回収はほとんど期待できません。

しかし,取引先が破産したとしても,以下の手段によって売掛金を回収することができる場合があります。

担保権の実行

取引先の破産手続が開始しても,債権者の担保権は制限されることなく行使することができるのが原則です。

したがって,売掛金債権の保全のために取引先の不動産に抵当権を設定していたり,保証人が設定されている場合には,それらの担保権を実行することによって,売掛金債権を回収することができます。

相殺

取引先に対して債務を負っている場合,互いの債権債務を対等額で相殺することが出来ます。

相殺をするときには,取引先に対して相殺通知書を送付したり,取引先との間で合意書を作成したりするのが一般的です。相殺の意思表示について,後日トラブルに発展するのを防ぐため,内容証明郵便を利用するなど,証拠が残る形で行うなどの注意が必要です。

商品の引き上げ

取引先に納入した商品について,代金完済まで売主に所有権を留保する取り決めをしている場合や,そのような所有権留保の取り決めがない場合でも,代金不払いを理由に債務不履行解除し,商品の返還を求めることも考えられます。

ただし,取引先の了承を得ずに無断で商品を引き上げた場合,窃盗罪などに問われるおそれがあるため,必ず取引先から合意書などの書面で了承を取り,商品の引き上げの際には取引先の人に立ち会ってもらうなど,取引先の協力の下で実施しなければならないことに注意が必要です。

以上のとおり,取引先が倒産した場合にも貴社への影響を最小限にとどめるため,適切な対応を取ることが重要となります。

取引先が倒産した場合や倒産するおそれがある場合の対応については,早期の段階で弁護士にご相談されることをお勧めいたします。