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ハラスメント対策

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ハラスメント対策

目次

  1. はじめに
  2. パワハラ問題の相談
    2-1. パワーハラスメント(パワハラ)とは
    2-2. パワハラの典型的な類型
    2-3. パワハラ防止措置の義務化
    2-4. パワハラが発生した場合の加害者・企業の責任
  3. セクハラ問題の相談
    3-1. 職場におけるセクハラの定義とは
    3-2. 職場におけるセクハラの種類
    3-3. 企業に課せられる措置
  4. おわりに

1. はじめに

パワハラ防止法(正式名称は「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」といいます)が2020年6月より施行され,すでに防止措置が義務化されているセクシャルハラスメント・マタニティハラスメントに加え,パワーハラスメントについても防止措置を講じることが,企業に義務付けられることになりました。

ここでは,パワーハラスメント・セクシャルハラスメントの定義や,企業に課せられている義務について解説いたします。

2. パワハラ問題の相談

2-1. パワーハラスメント(パワハラ)とは

ハラスメントには,パワーハラスメント(パワハラ),セクシュアル・ハラスメント(セクハラ),マタニティ・ハラスメント(マタハラ)等,様々な類型があります。

このうち,職場におけるパワーハラスメント(パワハラ)とは,同じ職場で働く者に対して,職務上の地位や⼈間関係などの職場内での優位性を背景に,業務の適正な範囲を超えて,精神的・⾝体的苦痛を与える⼜は職場環境を悪化させる⾏為のことをいいます。

2-2. パワハラの典型的な類型

厚生労働省は,パワハラの典型的な類型として,次の6つの類型を挙げています。(※すべてを網羅するものではありません)

類型 具体例
身体的な攻撃殴る,叩く,蹴るなどの暴行
精神的な攻撃大勢がいる前での叱責,宛先に複数人含まれるメールでの罵倒,必要以上に長時間にわたる叱責
人間関係からの切り離し長時間にわたる別室での隔離,強制的な自宅待機命令,送別会に出席させない
過大な要求経験不足の新入社員に対して過大なノルマや課題を課す,終業間際に過大な仕事を毎回押し付ける
過少な要求事務職なのに倉庫業務だけを命じる,運転手なのに除草作業を命じる
個の侵害休みの理由をしつこく聞く,個人所有のスマホを勝手にのぞく,個人情報を本人の了承なしに他の社員に暴露する

2-3. パワハラ防止措置の義務化

「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」(略称:労働施策総合推進法),通称「パワハラ防止法」の施行により,2020年6月1日から,企業に対し,パワハラ防止措置の構築義務が課されるようになりました(ただし,中小企業については2022年3月31日までの努力義務期間が設けられ,2022年4月1日から義務化されます。)

パワハラ防止措置の具体的な内容については,厚生労働大臣が次のとおり指針を定めています。

事業主の方針の明確化及びその周知・啓発・パワハラの内容・パワハラを⾏ってはならない旨の方針を明確化し,労働者に周知・啓発すること
・パワハラの行為者については,厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に
規定し,労働者に周知・啓発する
相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備  ・相談窓⼝をあらかじめ定め,労働者に周知する
・相談窓⼝担当者が,内容や状況に応じ適切に対応できるようにする
・パワハラが現実に生じている場合だけでなく,発生のおそれがある場合や,パワハラに該当するか否か微妙な場合であっても,広く相談に対応する
職場におけるパワーハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応・事実関係を迅速かつ正確に確認する
・事実関係の確認ができた場合には,速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に⾏う
・事実関係の確認ができた場合には,⾏為者に対する措置を適正に⾏う
・再発防止に向けた措置を講ずる
併せて講ずべき措置・相談者・⾏為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ,労働者に周知する
・事業主に相談したこと,事実関係の確認に協⼒したこと,都道府県労働局の援助制度を利⽤したこと等を理由として,解雇その他不利益な取扱いをされない旨を定め,労働者に周知・啓発する

2-4. パワハラが発生した場合の加害者・企業の責任

  • ✓加害者の責任(不法行為責任)

パワハラに該当する違法行為があり,それによって身体的・精神的障害を負わせてしまうことになれば,加害者は被害者に対して不法行為を行ったとして,不法行為に基づく損害賠償責任を負うことになります。ここでいう損害には,精神的・肉体的疾患に陥った場合の慰謝料や治療費,休業損害などが含まれます。

また,暴行・脅迫・傷害などの場合には,刑法上の責任に問われるケースもあります

  • 企業の責任(使用者責任,安全配慮義務違反,職場環境配慮義務違反)

企業が雇用している者がパワハラを行った加害者である場合,企業は使用者責任として損害賠償責任を負うことになります。

また,使用者である企業は,従業員が安全かつ健康に労働できるように配慮や対策を行う安全配慮義務を負っている(労働契約法5条)ため,パワハラが起きた場合,安全配慮義務違反により債務不履行責任を負う可能性があります。

3. セクハラ問題の相談

3-1. 職場におけるセクハラの定義とは

男女雇用機会均等法では,「職場におけるセクハラ」について,「職場において行われる,労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応により労働条件について不利益を受けたり,性的な言動により就業環境が害されること」と定義しています。

3-2. 職場におけるセクハラの種類

厚生労働省の指針によると,「職場におけるセクシュアルハラスメント」には「対価型」と「環境型」があります。

  • 対価型セクシュアルハラスメント

労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の拒否や抵抗により,その労働者が降格,減給,解雇,労働契約の更新拒否,昇進・昇格の対象からの除外,客観的に見て不利益な配置転換などの不利益を受けることです。

  • 環境型セクシュアルハラスメント

労働者の意に反する性的な言動により,労働者の就業環境が不快なものとなったため,能力の発揮に重大な悪影響が生じるなどその労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることです。

3-3. 企業に課せられる措置

男女雇用機会均等法において,企業にはセクハラの防止のための措置義務が課せられています

また,厚生労働大臣の指針において,事業主が雇用管理上講ずべき措置が次のとおり定められており,事業主はこれらの指針を必ず実施する必要があります。

① 事業主の方針の明確化及びその周知・啓発

・職場におけるセクシュアルハラスメントの内容・セクシュアルハラスメントがあってはならない旨の方針を明確化し,管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること

・セクシュアルハラスメントの行為者については,厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し,管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること

② 相談に応じ,適切に対応するために必要な体制の整備

  • ・相談窓口をあらかじめ定めること
  • ・相談窓口担当者が,内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること
  • ・広く相談に対応すること

③ 職場におけるセクシュアルハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応

  • ・事実関係を迅速かつ正確に確認すること
  • ・事実確認ができた場合には,速やかに被害者に対する配慮の措置を適正に行うこと
  • ・事実確認ができた場合には,行為者に対する措置を適正に行うこと
  • ・再発防止に向けた措置を講ずること

④ ①~③までの措置と併せて講ずべき措置

  • ・相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ,周知すること
  • ・相談したこと,事実関係の確認に協力したこと等を理由として不利益な取扱いを行っ てはならない旨を定め,労働者に周知・啓発すること

4. おわりに

職場でハラスメントが発生してしまった場合,職場風土の悪化や,それに伴う業績悪化,企業イメージの低下など,企業にもたらされる弊害には計り知れないものがあります。

したがって,企業においては,ハラスメントの発生をいかにして防ぐかということが非常に重要です。
また,ハラスメントが発生してしまった場合には,適切かつ迅速な対応が必要となります。

ハラスメントの対策・問題に関してお悩みの企業の方は,当事務所にご相談ください。