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「知らないうちに,社内に労働組合が出来ていて,団体交渉を申し込まれた」
「社外の合同労組に従業員が駆け込み,団体交渉を申し込まれた」
企業と従業員との間でトラブルが発生した場合,従業員に代わって労働組合から団体交渉を申し入れられることがあります。
また,企業に不当労働行為があった場合,労働者や労働組合が労働委員会に対して不当労働行為の救済申立てをすることがあります。
ここでは,団体交渉や労働委員会の概要や,企業が取るべき対応について解説します。
団体交渉とは,労働組合が使用者との間で,労働時間,賃金,その他の労働条件に関して交渉を行うことを言います。
一人一人では立場の弱い従業員が会社と対等に交渉するのは難しいため,労働組合が,労働者側の代表として交渉します。
労働組合とは,労働組合法において,以下のとおり定義されています。
「「労働組合」とは,労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体をいう」 |
つまり,労働者が労働時間や賃金などの労働条件の維持・改善を図ることを目指して,自主的に組織する団結のことをいいます。
憲法では,労働者が労働条件について使用者と対等な立場に立って交渉できるようにするために,労働者に対して団結権,団体交渉権及びその他の団体行動権(いわゆる労働三権)を保障しています。
これを受けて,労働組合法では,労働三権を具体的に保障するために,労働者が団結して労働組合をつくり(団結権),労働条件の交渉をすること(団体交渉権)を保障しています。
労働組合から会社に対して団体交渉が申し込まれた場合,ある日突然,「団体交渉申入書」,「要求書」,「労働組合加入通知書」といったタイトルの書面が,会社宛てに郵送されてくることが一般的です。
突然の申入れに焦ってしまい,適切な対応をとることができなかった場合,労使間の関係悪化や,会社にとって不利な状況を招いてしまうことが懸念されます。
まずは,受領した書面の内容をきちんと確認し,労働組合側の主張を踏まえたうえで,今後の対応方針を考えていくことが重要です。
労働組合法では,使用者が正当な理由なく団体交渉の申し入れを拒否することはできないと定められています。
したがって,団体交渉の申し入れがあった場合,使用者は原則としてこれに対応しなければいけません。
ただし,対応する義務があるのであって,労働組合の要求をすべて受け入れなければいけないという意味ではないため,労働組合の要求に対する会社の主張を十分に整理して団体交渉に臨むことが重要です。
労働委員会は,労働組合と使用者との間の紛争を解決し,労働関係の公正な調整を図ることを目的として設置された機関です。
具体的には,次のような事務を行っています。
実務上,特に重要なものの一つとされているのが,「不当労働行為に対する審査」であり,労働委員会が使用者の行為を不当労働行為と判断した場合に,労働委員会は救済命令を発することができるものとされています。
不当労働行為とは,労働組合法で定められている,使用者の労働組合または労働者に対する禁止行為のことをいいます。
具体的には,次のような行為が禁止されています。
・組合員であることを理由とする解雇その他の不利益取扱い ・正当な理由のない団体交渉の拒否 ・労働組合の運営等に対する支配・介入,経費の援助 ・労働委員会への申立て等を理由とする不利益取扱い |
使用者に不当労働行為があったと思われる場合,労働者や労働組合は,労働委員会に対して申立てをし,その行為に対する救済を求めることができます。これを,不当労働行為の救済制度といいます。
労働者や労働組合から不当労働行為の救済申立てがなされると,相手方である使用者に対して申立書が送付されます。
当該書類を受け取った使用者は,原則として10日以内に答弁書を提出しなければなりません。10日という期間は,極めて短くタイトであるため,申立書を受領した使用者は,すぐに申立書の記載内容を確認し,相手の主張について事実確認のうえ,答弁書を作成して労働委員会へ提出する必要があります。
答弁書が提出されると,双方の主張の争点を明らかにするために当事者が出席し,調査が行われます。
使用者の行為が不当労働行為と判断され,確定した救済命令に従わなかった場合,使用者は50万以下の過料に処せられることになります。
また,使用者による団体交渉権の不当な拒否は,不法行為を構成するものとして,使用者に対して損害賠償が命じられるケースもあります。
団体交渉を申し入れられたが,「そもそも応じるべきか」,「どのように交渉を行うべきか」,「業務に忙しくて時間を割けない」等,対応にお困りの場合は,すぐに弁護士にご相談ください。
また,労働者から不当労働行為の救済申立てがあった場合,使用者側は申立てに対する答弁書の作成や審理への出席などの対応が必要となり,これらは企業にとって大きな負担となります。
企業側の主張を正しく伝えるためにも,専門家である弁護士にご相談ください。